ハードボイルド文体の大きな特徴は、「徹底した客観描写」というものがあります。
例えば、「悲しい」と書かずに、どう「悲しさ」を表現するか。
この、「ハイエナ、元気でな」は、その技法を踏襲しており、読者に感情を“読ませる”余白があります。
例えば、主人公のやっている“ボランティア”を、別の登場人物が“ハイエナ”と表現し、それを主人公が否定しないシーンは、主人公の内面がよく表現されていると思います。
ただ、この文体の大きな欠点は、心理描写が極限まで削られる為、(極論ですが)その対にあるともいえるWEB小説やライトノベル読者との相性が悪い点。
作者は文体の特徴を削ってまで読者に寄せるか、
もしくは文体そのままに突っ走るかの選択を迫られます。
しかしこの作品はそのどちらでもなく、文体の特徴を保ったまま、分かりやすい客観描写で読者を引き込む力を持っています。
お世辞じゃなく描写力がすごいと思いました。
冒頭から作品に引き込まれました!!
始まり方が素晴らしい。書き手としてお手本にしたい一作。
物語全体を通して「ボランティア」が絶妙な違和感として印象を与えてきます。
「ボランティア」の内容は?
私の想像している内容と合ってる?
と、自問しながら読み進めました。二人の娘との日常がほっこりしているにも関わらず、ここまでハラハラさせられるとはっ!!
一万字ギリギリの文字数を感じさせない文章力、話の構成が読後の想像を膨らませます。
そして思う、「タイトル回収すら見事なのかよ!!」と。
ぜひ、続きが読みたいです!!
どうか書いて下さい。
よろしくお願いします!!!!
亜咲加奈さんが書かれた、「秋をテーマにした1万字以内の短編小説コンテスト」の参加作品です。
亜咲さんは、この夏は女性心理を丁寧につづった純文学作品を沢山書かれていましたが、その後お得意の不良小説作品群に回帰し、苦しみから人を救済する闇の組織を精力的に書かれてきました。
本作はちょうどその二つの融合、純文学的ミステリーというべきでしょう。
タイトルからすると、松田優作が演じるハードボイルドかと思いますが、違いますw 出てくるのは普通の人たちです。
ストーリーは、主人公外尾(ほかお)の妻が(職場のいじめであろうと思われますが)、病院の屋上から飛び降りて死ぬところから始まります。「あとで読んでね」と言われて開けた封筒の電話番号にかけてみると、見知らぬ女から3つの仕事のうち一つを選ぶように言われ、ボランティアを選択します。
それからというもの、外尾は奇妙なボランティア活動を続けることに。。
文書も読みやすくお上手で、スラスラとストーリーが頭に入ってきます。
最後は、同じボランティアのハイエナ(女性)と仲間意識が芽生えますが、ここから先は本筋ではないのでしょうから、ご想像にお任せするということで。
読み応えあるミステリー好きにはお勧めですよ。
是非どうぞ。