健全かつ真っ当な物語

 冒頭から奇天烈な文体と、アトピー性皮膚炎の強烈な苦しみの描写。しまいには「母を食べる」というホラーめいた比喩にまで踏み込み、不意打ちのように神経を掴まれてぞわりとします。
 でも、骨格はきわめて真っ当で、テーマは「親からの独立/超克」。過激さの奥に、まっすぐな成長譚があります。
 強い表現に揺さぶられつつ、その芯を味わってください。おすすめです。

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