笑って読めるのに、確実に不穏。運び屋SFの最高の導入

  • ★★★ Excellent!!!

テンポの良い語り口と、セレスティナとリリスの軽快な掛け合いがとても心地よく、
気づけば第1話を一気に読み切っていました。
明るくコミカルな空気の中で物語が進む一方、
高額報酬、詳細不明の依頼、棺桶、エリアZ――
少しずつ差し込まれる要素が、確実に「嫌な予感」を積み重ねてきます。
特に印象的だったのは、
笑える会話で油断させておいてから、
「これはただの運搬じゃない」と読者に悟らせる構成の上手さです。
軽さと不穏さのバランスが非常に巧みで、
読みやすいのに、読み終わったあと胸にざらっとした感触が残ります。
SF世界観の説明も自然で、
運び屋という設定が物語の軸としてしっかり機能しているため、
第1話の時点で世界に置いていかれる感覚がありません。
「この荷物は何なのか」
「なぜ、こんなにも急がせるのか」
そうした疑問が自然に湧き、
続きを読まずにはいられなくなる、完成度の高い導入回だと思いました。
これから先、どんな“想い”が運ばれていくのか。
続きを読むのが楽しみです。