静かなのに、ずっと不穏。喉の奥に何かがつかえるような感覚。

17話まで拝読しました。
静かな物語なのに、読んでいる間ずっと、無意識に息を詰めてしまいそうな作品です。

派手な展開で煽られるわけではないのに、常に足元がじわじわ冷えていくような不穏さ。
読者だけが「何かおかしい」と気づいてしまう、あの感覚にやられました。

この作品は、設定をただ説明するんじゃなくて、
登場人物が「何を知っていて、何を知らされていないか」というズレだけで、
緊張感を作っています。

同じ街で同じ時間を過ごしているはずなのに、見えている世界が決定的に違う。
そのズレの積み重ねが、気づくと後戻りできない所まで連れていかれました。

特に印象に残ったのは「名前」の扱いでした。
呼ぶこと、隠すこと、名乗れないこと。

それが相手を守る優しさにもなれば、逃げられない枷にもなる。
その不器用で、一方的な愛情の形がとても苦しくて、でも目が離せませんでした。

ここまで読み終わった後に残ったのは、安易な安心感なんかじゃなくて、

「……ここからが、本当の地獄(本番)なんだな」

です。

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