不思議なバリスタと出会った人々の胸に抱える記憶を綴った、切なさ薫る物語
- ★★★ Excellent!!!
見る人の記憶の中の人を映してしまう『呪いのバリスタ』と呼ばれる男性と、彼のありのままの姿を見る女性、二人の出会いと彼等が出会う人々のドラマ。
別人に見えてしまうことから起こる苦難に向き合って来たバリスタの悠介。彼の優しさに徐々に惹かれる愛佳。
オムニバスのように起こる出来事を経るごとに、二人の心が近付いて行く様子が丁寧に描かれています。
しっとりした人間ドラマが『他人に見えてしまう』というファンタジックな設定を妙に現実的に見せており、それゆえに巻き起こる出来事に疑問を持たせることなく引き込みます。
彼を見た人物は自分の過去と向き合い、そして何かを思い出してゆく。
否応なく巻き込まれる悠介を支えようとする愛佳、二人の想い合う様子も切なさを感じさせる物語です。
とびきり香り高い一杯の珈琲とともに楽しみたい、そう感じさせることを保証いたします!