誰でもあるようで誰でもない、ドッペルゲンガーのようなバリスタのお話
- ★★★ Excellent!!!
人にとって、顔とは一番表層部に現れるアイデンティティのようなものです。
個を保証し、個を特定し、己と相手を分かつ最もわかりやすい部分なわけですね。
だからこそ、自分であるはずの顔を別の誰かの様に見られたら、少なからず心にもやっとしたものが生まれます。
果たして私は誰なのだ、と。
ずっと「違う誰かの顔」に見間違われる、不思議な青年バリスタ。
まるでドッペルゲンガーのような彼の顔ですが、主人公には特に誰かに似ているという風にも見えません。
バリスタの彼はずっと「別の誰か」として見られていただけに、主人公の事がちょっと気になるようです。
おや、これは彼にとっての特別な存在になる気配ですね?
「顔」という自己に直結する部分に触れつつ紡がれる物語、これは哲学的で深みのあるお話になりそうな予感がします。
読み始めるなら今です。