神話の大事件を、現代日本にそのまま投げ込む乱暴さが気持ちいい。イシュタルの口調も行動も遠慮がなく、読者のツッコミ待ちみたいに暴れてくれるから、読む側は振り落とされずに笑える。
特に光るのは、歌舞伎町のホストクラブ回だ。ふかふかのソファに感動した次の瞬間から酒を矢継ぎ早に要求し、瓶が塔みたいに積み上がって天井に届く。さて会計となったら、懐から出てきたのが螺旋状の銀で、店側は当然『日本円で』と言う。そこでホストが金づる扱いを白状し、強面がバットと拳銃で迫ってくるのに、イシュタルは怯えず「戦でもするつもりか」と睨み返す。そのまま店が吹き飛んで、ニュースで『瑠璃色の髪の少女が大暴れ』と流れるまでの流れが鮮やかだ。古代の価値観と現代の財布事情が正面衝突して、笑いが一気に惨事へ転がる。
ナブーの小心ぶりや、エアーとエレシュキガルの温度差も効いていて、暴走の後始末がただの説教で終わらない。最終回で被害が元に戻り、犠牲者も蘇る決着は後味を軽くしつつ、最後に姉の欲まで暴れ出すオチがまた良い余韻を残す。