あなたの職場にもあるかも知れない、お得意様からの贈答品、出張者の戦利品、旅行帰りのおみやげ……それらが置かれた専用デスク。
あなたはそこからおかしを持っていく人ですか?
それともなんだか図々しい気がして持っていかない?
特にラスト一個になってしまったら……ちょっと躊躇しちゃったりしますか?
本作はそんな日常の小さな葛藤を描いた作品です。
身近な切り口で書かれているところも魅力ですが、とにかくシンプルに文章が上手!
どうなるんだろうと、ぐいぐい読んでしまいます。
こちらのレビューを読んで気になったあなた、是非是非ご一読ください(`・ω・´)
かつて、自分は図々しく空気の読めない人間だった。
タダでもらえるとわかれば、率先して「わーい」と貰い、余るようなら「それ貰っていきますね」とがめつく根こそぎ刈り取っていく。
多くの場合、そういうものは子供の頃に矯正されていくものだが、私に至っては社会人になってからもしばらくはド正直に遠慮なく物をもらおうと心構えていた。
結果、それが原因でパワハラじみた叱責を受け、ようやくそこで「遠慮」を学ぶようになった。
そこからが地獄だ。
自分に枷が嵌められてしまったかのように、誰かが取ってからでないと追従できない。
最後のひとつになってしまうと、遠慮してしまってその最後を取ることができない。
本心を言えば、何の気兼ねもなしにサクッとそれを頂いてしまいたい。
だが、そのことで自身の社会的な立場が脅かされるのが好ましくないのだ。
大変めんどくさく、難儀なものである。
本作の主人公は、そんな「難儀」を抱えた一人の女性だ。
人は彼女の事を「考え過ぎ」と笑うかもしれない。
しかし、決して少なくない人が、彼女のような「ご自由だからこそ取りにくい、同調圧力による壁」を感じていることだろう。
本作はそんな「壁」と立ち向かう、少し前に進むためのお話である。
同調圧力に悩まされ、遠慮の塊を産みがちの皆様におかれましては、是非とも本作を読んでいただき、遠慮なく図々しくなっていただきたい。
OLの田島には日課がある。オフィスのお菓子テーブルを観察することだ。
「みんなでどうぞ」と書かれているけれど、あれこれ考えすぎて一度もお菓子を取ったことがなく、結果いつも観察しているのだ。
最初の一個、一人だけじゃ取りづらい。
最後の一個、取ったらいけないかな~と思ってしまう。
たぶん、多くの人がそう思ったことがあるのでは?
決して大きな問題ではないけれど、悩んでしまう。そんな田島にかけられたとある「言葉」が田島を、そして他の人たちのことも、ちょっとだけ変えていく。
考えすぎてしまうあなたも、遠慮なんてしないあなたも、とにかくお菓子大好きなあなたも。
ちょっと心が軽くなるお話、ぜひお楽しみください。