ありきたりな異世界転生に食傷気味なあなたへ

ハトの糞という、最悪にくだらない死因から始まる本作。
異世界転生という王道フォーマットを用いながら、ギャグと思わせて、
その“ご褒美性”を真正面から疑ってくる短編だ。

主人公は特別でも有能でもなく、
努力もしないが反抗もしない――ただ、結ばずに生きてきた人物。
神は因果と哲学を語り、転生という救済を提示するが、
そこに割り込む存在によって、物語は大きく方向転換していく。

本作が面白いのは、「因果」を壮大な運命論ではなく、
管理され、処理され、修正されるものとして描いている点にある。
異世界は夢の舞台ではなく、不具合を抱えたシステム。
主人公に与えられる役割も、英雄とは程遠い。

最後まで読んで残るのは、爽快感ではない。
だがその代わりに、静かな納得がある。

異世界転生に食傷気味な読者ほど、
このズラしは心地よく感じられるはずだ。