仮想現実の深淵に潜る――『ダイバー』第1部レビュー

現実と仮想現実の狭間を行き来する者たち――「ダイバー」。
彼らは、もうひとつの世界に潜り込み、そこで任務を果たす特別なエージェント。

この世界では、ある会社が開発した「仮想現実世界」が、人々の新たな生活圏として存在する。
ウイルスや戦争により不安定になった現実から逃れ、多くの人々が“もう一つの現実”へと移住した未来。
その秩序を守るために送り込まれるのが――ダイバーたちである。

『ダイバー』は、彼らの知られざる活躍を描いた三つの物語による連作シリーズ。
『ブラックパープルメンソール』『ゴースト・プロトコル』『マジックブレーカー』の三部に加え、
世界観を深く掘り下げる『公式ガイドブック』、そしてアナザーストーリー『ダークピンクローズ』も収録されている。

2050年の現実、2020年代の再現世界、そして“ダイブ”によって繋がる二つの現実。

第一部『ブラックパープルメンソール』では、S級ダイバー403と、仮想街で生きる少女・美桜の出会いが描かれる。
その後に続く、公式ガイドブックを併読することで、トール社の存在やダイバー制度の背景が一気に立体化する。


一見クールなSFの皮をかぶりながら、その奥には「人間とは何か」という古典的な問いが息づいている物語。

これがシリーズの入口だと思うと、続く二部・三部でどんな世界が待っているのか――期待せずにはいられません。

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