殺人は有り得ても食人は存在してはいけない、その境界線が示唆する「人間」

今年は、いや、今年も年明けから戦争の知らせにより幕を開けました。個人による殺人は365日発生しています。いくら殺人は悪だと問うても終わらない現実があります。では、それら殺人犯は、被害者の肉を食べたでしょうか?

人間が同じく人間を殺害した後に、捨てることと、食べることは、乗り越えることが難しい境界線があります。まるで絶壁に見えます。物理的に壁はなく、心理的に線が引かれているだけであっても。

人肉を食べてはいけないと各人が共通して自然に心中に道徳律を抱える、「人間」とは何か? 食人を描くとは人間を問う行為です。

そして、社会悪に抗う行為が、抗うために必要な行為を成す人物が、悪に対立するなら正義と呼べるのかも問われます。怖いですよ。というかグロいですよ。

風刺なら笑って終わりですが、本作で描かれるのは、命がけの意気込みであり、狂気です。その狂気が突き放されて描かれます。

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