「ボクら霊もさ、今は電気信号に乗っかって生きてるやつ多いんだ」
- ★★★ Excellent!!!
高校生のアヤは、めっちゃウケると評判の謎アプリ「教えて!コックリさん」をスマホに入れた。
「知りたい言葉」や「質問」を入れると答えと豆知識を返してくれ、「面白い機能」もついてくるらしい。
『はじめまして!ボクはコクスケ!アヤさんの質問にぜーんぶ答えるよ! 奉納点を貯めると、ボクも成長するんだ! だから、ボクを指名してよ』
胡散臭い子狐がぴょんと飛び出し、秒で営業トークをかましだす。
ためしに同級生の恋愛事情を聞いてみると、霊界の情報網によって彼の六股まで教えてくれた。
だが、アヤは気づいていなかった。
小さな画面の向こうで、何かが静かに動き始めていることに。
次の日、アヤの友人のすべてのアカウントが消滅した。
友人によると、“こちらを見た”という画面表示が出た後、スマホは沈黙したらしい。
そして“こちらを見た”という被害者はどんどんと膨れ上がっていく。
『アカウントを失うってことは……その人の一部を食べられてる、ってことなんだ。だってSNSって持ち主の思い出や感情の蓄積じゃない?』
アヤの心の中では胸騒ぎが起こっていた。
これは、ただのデータ消失じゃないと――。
現実世界に忍び寄るのは、電脳世界の声なき恐怖。
次に“こちらを見た”のは――誰だ?