「つまり、最高の乱数を引いた男である」

『クロノ・クロニクル』
それは死にゲー界隈の頂点に上り詰めた金字塔（クソゲー）。

千明秋（ちぎらあき）は、未だクリア率数％の超鬼畜ゲームのRTAに挑んでいた。
ある夜、秋は『ゲーム世界に転移する裏技』という記事を見つけ、コマンドを入力していく。

目を覚ますと、秋と幼なじみの西寺友奈は、“あの世界”にいた。
そして、秋を30回殺した化け物が、彼らを殺しにかかる。

突如、赤いウィンドウが、彼らの意識を塗りつぶし始めた。
【72時間以内に魔王を討伐してください】
【失敗した場合、セーブ地点まで初期化されます】
【残り時間：71(時間）:59(分）:59(秒）】

「72時間以内に、魔王を倒せ？ そんなの、無理に決まっている。」

この世界から出るための唯一の方法、それは魔王を倒すこと。
それがほぼ不可能な難易度であることを、秋はよく知っている。

「さぁ。殺し合おうじゃないか」

気付けば、彼の顔には微笑が浮かんでいた――。

これは、最速を超えて「真実」に辿り着こうとする者たちの物語。