とっても健気なアイドル幽霊。可愛くて儚い、彼女との恋の行方は?

 読み終えた後、心にジーンと来る素敵なストーリーでした。

 主人公(声をかけられる対象)が引っ越した部屋には、幽霊が住んでいた。

 しかしその幽霊は、主人公がひそかに推しとしていたアイドルの「めろんちゃん」だとわかる。
 めろんちゃんは自分のことが見える主人公と一緒に暮らし、アイドルをしていた時の苦悩とか、普通の女の子としての感慨などを語ってくれるようになります。

 めろんちゃんのファンで、めろんちゃんのためならいくらでも頑張れる主人公。そんな姿にめろんちゃんもどんどん心を動かされていく。
 アイドルとして、普通の女の子として、それでも幽霊として傍にいる。

 この語りがなんとも可愛らしい。でもその一方でとても切ない。
 幽霊との恋愛。こんなのもう、切ないラストが待ってるに決まってるじゃないか! と、徐々に近づいてくる「終わりの時」を予感しつつ、読者はめろんちゃんの言葉に聞き入ることになっていきます。

 そして迎えたラスト。めろんちゃんが最後までとても健気で、同じく主人公もすごく誠実で、この二人には幸せになって欲しい、と強く願うようになっていきます。

 読み終えた後は胸がいっぱいになりました。良いものを読ませていただいた、とひたすら満たされた気持ちになっています。

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