読み終えたあと――あなたの部屋が、すこしだけ静かになるかもしれません。
- ★★★ Excellent!!!
これは、信じても信じなくてもいい話です――
ただし、読み終えたあと、少しだけ部屋が静かすぎるかもしれません。
この作品が描くのは、突然驚かせる恐怖ではなく、
金縛り、耳鳴り、背後の気配……。
どれも日常で「あるかもしれない」と思えてしまう出来事ばかりで、
説明されない余白が、じわり、じわりと心を刺激してきます。
これは、怖い話を“読んでいる”というより、
夜更けに、横で雑魚寝している友の体験談を、
ぽつり、ぽつりと“聞かされている”感覚に近い。
その距離感が心地よく、そして油断したところに、
静かな怖さが、ふいに突き刺さります。
読み終えたあと、部屋は何も変わっていないはずなのに、
音のない、そしてどこか優しい時間だけが、
静かに流れているはずです。
あなたも……これを“読んでしまった”以上、
もう、知らなかった頃には戻れません。