土方歳三に婚約破棄された令嬢・琴絵が、誠実な美少年隊士・啓之助と駆け落ちするところから物語は一気に加速します。
信州松代を目指す旅は、北前船で長崎へ、さらに清国へと広がる“幕末版ロードムービー”のような楽しさ。
草津宿や奈良井宿の情景、旅籠の温もり、清流の匂いが丁寧に描かれ、読者も一緒に街道を歩いている気分になります。
一方で、怪しい影やクチナシの匂いが漂い、追手の正体が見えない不穏さが物語に緊張感を添える。
執事(?)張蔵や絵師兵六の加入で一行はますます賑やかに。
琴絵の恋と冒険が、幕末の闇にどう立ち向かうのか――
続きが気になる痛快逃避行です。
土方歳三に婚約破棄された令嬢が美少年隊士と駆け落ちタイトルだけ見れば量産型のお約束ラブコメに見える。だが「テーマはミスリード」という一文が、この作品の本当の仕掛けを予告している。
レビューで多くの人が指摘している通り、穏やかな導入から物語は静かに加速し、読者は気づかぬうちに作者の罠に誘い込まれる。琴絵が自分自身を「悪役令嬢」だと気づく第7話の構造は、テンプレートそのものをメタ的に裏切る巧さがある。
本編『Shanghai samurai dad&son』の前日譚として、誰が味方で誰が敵なのか分からないまま進む不安定さが、本編に通底する「仮面の下の真実」というテーマをすでに予告している。見せかけの恋愛劇の奥に、もっと大きな仕掛けが隠れているその予感だけで十分に引きが強い。
冒頭を読み始めた方────
風邪をひいた進ちゃんに、父が絵本を読み聞かせる──
……だけの物語?
いやいや、この作者さんがそんなはず、ありませんって!
タイトルに白々しく“婚約破棄”とか書いてありますけど、
もう最初から最後まで、
“テンプレ”とか“ジャンル”とか、分類という枠に
収めようなんて気がまったくない作品 です。
正直に言います。
この物語を私の文章力でまとめて語るなんて、不可能です。
だから、もし紹介文が読みたいなら──
他の人のレビューを読んだ方がいいです。(オイ!作者さんに叱られんぞ!)
「切ないのに温かくて、悲しいのに救いがある物語」
なんて、そんな上品な一行で片付く作品じゃありませんよ。
まず、「揚羽党」「闇黒阿片」「カラクリ人形」……
次々と叩き込まれる謎の連続。
しかも新選組サイドは完全に“コメディ担当”。
序盤は 幕末×怪異×逃避行ロマンス。
そこから突如、
陰謀劇 → サスペンス → ホラー → 幕末版ミッション:インポッシブル へ一直線。
読者は常に、
「え、なにこれ?なんかずっとヤバいものに巻き込まれてない!?」
という不安と笑いを同時に味わい続ける羽目になります。
そして極めつけは、
高名な絵師のくせに画力がアレすぎる“蠣崎”。
そこへ突然流れ出す謎の童歌──
『イルカヤ…ネルカヤ…カエルカヤ…』
このあたりから、もう紹介文をまとめる気が失せましたw
歴史ディテールの正確さ、
ドラマの巧妙さ、
キャラの正体に隠された伏線……
張蔵は?
蠣崎は?
琴絵は……一体誰?
読み終わっても頭がずっと旅を続けている感じ。
──ほ~ら、やっぱり。 紹介文を書くなんて無理だったでしょ?
それでも心に残るんです、なぜか、この物語は。
ニーチェがそんなことを言ってた気がします。
小海倫様のシリーズ作品を読ませていただくと、この言葉が浮かびました。
肉体と魂は密接な関係にあると思います。
『我思う、ゆえに我あり』
浅はかな、考え方です。
思わなくても、居るんです。
証明しなくても、存在するのです。
進ちゃん。
数奇な運命に翻弄された、シリーズの主人公。
彼女の生き方、そして、ふと現れる言動を聞くと、
『魂は肉体のオモチャに過ぎない』
これは、真理だなと思います。
肉体が魂を作り出す。
そして、魂は決して、死ぬことは無い。
皮肉かもしれませんが、
本体の肉体は滅びても、魂は滅びはしないですよね。
魂。
それは、熱い思いなのだと思います。
幕末が好き、という人は佐久間象山を知ってもその息子が何をした人かは知らないだろう。そんな彼が新撰組にいたことも。
そんな「誰?」という三浦啓之助がとある女性と駆け落ちして新撰組から脱するところから物語は始まります。
新撰組の追手、瀬蓮張蔵(せばすちゃんぞうw)に謎の組織。そして駆け落ち相手の秘密とは…!?
最後は大団円の外伝作品。
前作を読んでいる人は是非今作も
読んでいない人は是非これの後に
読めば世界が広がります。
それにしても本当に小海倫先生はまだ手垢がついていないところを見つけるのが本当に上手。
まさに司馬遼太郎大先生が坂本龍馬を見出したように。
次回作はどんなところを切り開いていくか楽しみです♪
そんなわけないだろう。ははあ、あのバラガキ、そんな適当なこと言って、どこぞの娘さんを……って思ってたら、気がついたらそのいいなずけ、何かちがう人と駆け落ちしてる!?
そして、そんな駆け落ち行脚を追っていく、謎の男・瀬蓮張蔵《せばす・ちゃんぞう》。
いやいや、誰だお前って言いたくなりますけど、みなさんよく知っている人です。
そんなこと言っているうちに、蠣崎兵六《かきざき・ひょうろく》という漂泊の絵師も出てきます。
というか、令嬢も駆け落ち相手も瀬蓮張蔵も蠣崎兵六も、実は新撰組好きなら知っている人です。
いったいこの人たちは、「誰」なのか。
そしてそして、この駆け落ちの行きつく先は。
あっと驚くどんでん返し。
もう一度冒頭を読み返したくなります。
ぜひ、ご一読を。