不安定が生み出す不思議な推進力

何かを失った人に咲く「想花」。その花を巡り、生花店を営む青年と、会社を馘になった女性が色々な人と交流する現代ファンタジー、と言えばいいのでしょうか。現状公開されている1章3-7まで読みました。

設定が独特で最初は面食らいましたが、読んでいるうちにだんだん把握でき、「なるほどそういうことか」となりました。他になかなか見ない設定が興味深く、序盤はそれだけで続きを読みたくなる力があります。

店長と穂花、そして新しく登場した有希の、整っているようでどこか歪んだ関係が生み出す不安定さ。しかしその不安定さが、不快ではなく、不安定ならではの推進力を生んでいるところが、この作品の魅力なのではないでしょうか。

まだまだこれからの話だと思いますが、柔らかな描写と、人間関係の微かな歪みが生み出すドラマがどう転ぶのか、楽しみは尽きません。

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