静かに語られる、敗国の重さ

  • ★★★ Excellent!!!

派手な事件は起きない。
それでもページをめくる手が止まらないのは、言葉の端々に歴史と敗北の重みが沈んでいるからだと思います。

本作は、辺境領主の視点から描かれる静かな導入でありながら、
会話と所作だけで「国が滅びるとはどういうことか」「戦とは何を壊すのか」を読者に伝えてきます。

剣を抜く場面は短いのに濃く、そして最後の一言が、物語のスケールを一気に引き上げる。
腰を据えて世界に浸りたい人にこそ、そっと勧めたい一話です。

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