港の匂い
木の家のきしみ
子どもたちの笑い声。
そんな「日常」の温度が
次の瞬間には権力の軋みと殺気に反転する——
この落差の気持ちよさが本作の持ち味です!
会話で人物の芯を見せ
戦闘では
理詰めの手順と体感的な迫力で押し切る。
特に術の使い方は
〝カッコいい〟だけで終わらず
準備・誘導・逆手と
戦略が物語そのものを動かしていくのが
読んでいて、とても心地よいです!!
政治劇は難解に寄らず
信頼と野心、守る責務と変革の欲求が
せめぎ合う人間ドラマとして胸に来ます。
幕間で描かれる小さな仕草や祈りが
のちの決断の重さへと静かに繋がっていく
構成力がまた巧み!!!
剣戟のスピード感と
誰かの肩にそっと手を置く優しさが
同じ一章で共存している稀有な一作です。
日常があるから非日常が刺さる——
その原理を
この物語は見事に体現しています。
重厚さと読みやすさのバランスも秀逸!
次章の演説が何を変えるのか──
息を詰めて見届けたくなるはず!!!
水面下で、権力者たちの派閥争いが激化する"孤島の楽園"リデフォール王国。本作は貴族の暗殺、宰相のクーデター、交錯する複数の想いが魅力的な国盗り物語である。
"楽園"の実態を憂える若き騎士アルノーも然ることながら、一見すると巨悪にも思える宰相ロベールもまた、彼なりの信念や正義、理想を胸に行動しているなど、一概に善悪の括りで登場人物を語れないのも本作の魅力の一つと言える。
犠牲なくして、真の平穏は勝ち取れない。それぞれの想いを胸に、変革を望む者たちは権謀術数の限りを尽くす。たとえ、どれほどの血を流すことになろうとも、己を信じて、己の理想を信じて前に進むしかないのだから。
緻密な設定、重厚な世界観、手に汗握る戦闘描写など、見どころ満載な本作。果たして、どのような結末が待っているのだろうか。
登場人物たちの掛け合いなど明るく楽しいシーンもあるものの、全体的にはダークな雰囲気が立ち込めているお話です。
主人公は平和な国、平等な社会を夢みる青年騎士、アルノ―。彼はその夢を実現すべく、手段を選ばず邁進していきます。その姿は泥臭くも、揺るぎない決意を胸に突き進んでいくのです。
彼と共に行動する幼馴染アーネ、アルノ―の道場の弟子たちも、頼もしい活躍を見せてくれます。敵対する人物も魅力的に描かれており、退場するのが勿体なく感じることも!
このお話における魔法が触媒を必要としている点も、個人的に好きな部分です。水術を使うために水を皮袋で携帯しているところとか。そういう、万能でない設定が、お話に絡んでくるのが楽しいです。街中の描写も丁寧で、一緒に歩いている気分になれますよ!
5話、6話くらいから、お話の雰囲気が変わります。そこでアルノ―を支持、もしくは見守ることができるか否かで、お話から受ける印象が少し変わるかもしれません。私はこの先、彼がどのような道を歩み、その手で何を掴むのか。それを見届けてみたい、という気持ちでいます。
丁寧に描かれたダークファンタジーです。
お薦めします(^^)!