すごく冷たいよ!の優しさ

「生きるのは本当にめんどくさい」そんな言葉から始まる物語に、つい自分を重ねてしまいました。何も感じない日々、息を潜めるような暮らしの中で、「すごく冷たいよ!」と書かれたタッパーのふたや、刺繍が歪んだ手作りのお守りが、胸に優しく刺さります。

 眩しすぎる百合の笑顔も、葵のあの「椎茸いらない」顔も、読後じんわりと残って、まるで家族のように思えてしまう。命と向き合う重さの中で、ふと笑ってしまうようなやりとりがあるのも、この作品の大きな魅力。

 そっと寄り添ってくれる物語に出会いたい方におすすめです。

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