命は「心」によって、どこまでも輝けるしどこまでも優しくなれる。読後はそう思えました。
砂時計のようにすり落ちていく命を前にして葛藤し、苦悩し、それでも連の心は不器用ながらどこまでも優しい。読んでいて、彼の健気で優しい毎日がずっと続いていけばいいのにと願わずにはいられません。
また、作者様の筆致にも一切の気負いはなく、飾らない言葉と誇張のない表現で綴られる光や音、水の流れなどの自然物の描写が本当に「自然」そのもので美しいです。
そして一人称で語られる蓮の心の言葉が本当に真っすぐに伝わる。行間も読みやすく、あっという間に没入して一気読みしてしまいました。
好きなシーンは数ありますが、中でも「4月2日 (永遠の春)」が好きです。
限られた時間の中で、あえて「退屈な時間」を過ごすことにする二人の感性が好きです。読んでいて、命や時間や風や川が流れていくその瞬間が、連と百合にとっては永遠のものとして記憶される瞬間のように感じられました。
本当に素敵な作品を読ませていただきました。
途中から、夕砂さんの連載を、これほど毎日楽しみに待ちながら、それでいて、切なすぎて、次の日が来ないで欲しいって願ってしまう想いもあって、(嬉しいんだけど悲しい)…(楽しいんだけど苦しい)…ような矛盾の気持ちも感じながら読ませて頂きましたが、必ずしも悲しみだけではない希望の光を、最終的には見た気がします。
登場人物の何気ない会話の美しさ、情景の細部の表現の見事さもあって、1文1文が本当に心に響いてきます。
当たり前に、ただなんとなく生きている自分の毎日を見つめ直す機会を与えて頂き…
それでも無駄な日って1日もないんだよねっていう矛盾した想いも感じさせて貰えた、本当素敵な作品でした☆
人生に無駄なことなど何一つなかった。
そう思える日は来るのでしょうか。
この長い人生の最後がその日なのかもしれませんし、無駄で溢れていた人生だったと最後の最後で悔いるのかもしれません。
正直、私の短すぎる人生経験の中で答えを導き出せるほど容易な問いではないと思います。
ですが、この作品を読んで。
人生が無駄で溢れているものだとしてもいいのかなと、ほんの少しだけ思いました。
終わりに何を思うかは決められませんし、今の自分ではわからないですが、この人生の道中の無駄を肯定してあげることは、今の自分にもできることなのかもしれません。
こういうことって、なぜだか上から諭されている気分になり、上手く自分の中に落ちていく感覚がしないことも事実です。
登場人物たちと完全に同化して読み進められるかと言われたら否定します。扱われるテーマが大きく感傷的になればなるほど、登場人物たちを否定する自分、感情が生まれることは確かです。
ですが、それだけ主人公と一緒に。どう残りの時間を過ごしたらいいか、どんな気持ちで人生の最後を迎えたらいいかを考えたわけです。
あいにく私は、彼に紛う心を手にしたくせに、明日を願う側の存在です。
得してしまいました。
一話一話サクサク読めるので、感覚的に総文字数よりも短く感じます。
是非、気になる方は読んでみてください。
素晴らしい作品をありがとうございました。
自分語りのようになってしまい恐縮ですが、現在の私も初期の主人公のように「人生は、退屈な日々をただおくるだけでつまらない」と感じはじめていました。おそらく、主人公や私のような人は少なくないと思います。
ですがこの作品は、そういった特別ではない何気ない日々の貴重さ、そして今生きていることの美しさを描いてくれています。
生きているなら、何かやっておこう。そう思わせてくれるような切ない物語。
終わってしまうのは悲しいですが、それと同時にクライマックスが待ちきれません。
追記 ※ここからネタバレ注意
あとがきまで読了致しました。
なんというか、もう、上手く言葉にできない切なさが心の中で脈打っています。
もしかしたらこの物語は完全なハッピーエンドでは無かったかもしれない。けれど、そんなのどうだっていい。ハッピーエンドとか、何もかも夢が叶って最高の結末とか、そういうのは、いいんです。
この物語の主人公・蓮は、少なくとも幸せに浸りながら全てを終えていったと感じています。
これまで無意味に思えていた自分の人生に、価値を見出し、やりたい事をやり切り、自分の本心と向き合って、悔いのない終わりを迎えたと。
蓮の選択が正しかったのか、そうでなかったのか……そういった議論はいくらでもできます。ですが私は、少なくとも、間違いではなかったと信じています。
最後に、作者様。心に響く最高の作品を届けてくださりありがとうございます。そして連載お疲れ様でした。
私はまだまだ「咲いていない花」ですが、これから美しく咲き誇れるように精進します。
改めて、ありがとうございました。ぜひ書籍として、自室に置いておきたいな……。