この世のほかの思ひ出に、いまひとたびの──。

未知のウイルスに冒された終末世界で生き抜き、イベント事を敢行する人々を描いたデッドシリーズ3作目となる本作の題材は、お馴染み『七夕』だ。
今作では、1・2作目時点では正体が不明瞭だった大ボスと対峙することになる。

前作からの流れを引き継ぐアクション映画のような派手な展開に粋な台詞回し、各所に散りばめられた伏線とその鮮やかな回収等、本作も見どころ満載だ。

先の見えない終わりの世界で、己が目的を果たさんがために計画を進める者。
唯一絶対の支配者に抗えず、心を殺して生きてきた者。
それでも希望を絶やすことなく、今ある幸せと大切な存在を守り抜こうとする者。
かけがえのない存在の無事と、その者との再会を願う者。
そんな大人たちの背中を見て、成長していく子どもたち。
彼らが個々に抱く願いは大小さまざまで、夜空にかかった天の川のようだが、
厳しい環境を生き抜いてきた彼らにとって、願い事とは、短冊に託した願いとは、決して他力本願なものではなく、自分自身と天に対する宣誓だったのかもしれない。

彼らの願いとその行く末を、ぜひ見届けていただきたい。

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