日曜日には母が来るから眠れない

天音 花香

土曜の夜

 寝たら明日が来ると思うと寝たくない。

 

 普段は聞こえない時計の針が、時を刻む音だけが聞こえる。


 静かだ。


 なのに私の脳内は騒がしい。

 明日のことを考えると様々な思いが言葉となって巡る。


 土曜の夜の度に私は憂鬱でたまらない。

 日曜なんて来なければいいのに。


「はあ」


 ため息が思ったよりも大きく暗闇に響いた。

 私は慌てて隣で寝ている修治さんの顔を見る。修治さんは安らかな寝息をたてていた。

 私は今度は静かに安堵の息を漏らした。


 明日、仕事は、ない。それは良いのか悪いのか。

 いや、まだ仕事の方がいい。


 眠りたくないけれど、結局明日はやってくる。寝とかないと、明日、きっと耐えられない。


 私は処方されている睡眠薬を水で流し込んだ。それでもすぐに寝つける自信はなかった。

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