大河ドラマの風格を持つ、一人の少年の成長を追う物語
- ★★★ Excellent!!!
物語の舞台は、中世の暗黒は脱しながらも、まだまだ不平等や社会的矛盾を多く抱え、更には帝国主義の兆しもちらほらと見え始めている、近代夜明け前のような世界。その独特の雰囲気が、魔法やモンスターが登場するファンタジーでありながら、大河ドラマのような歴史的風格を感じさせます。
そして、主人公は、いずれ『政変王』となることが明言されている、一人の王子。
その彼は、今、父王に冷遇され、積極的に命を狙われる訳ではないけれど、何かを期待されることもない、ぬるま湯であると同時に飼い殺しの生活を送っています。
自己肯定感は低いけれど、何もしない訳ではない。気質は真面目で善良、潜在能力はとても高い。何より、理不尽を理不尽と捉える真っ当な正義感と倫理観を持っている。
そんな彼が、いつ、どのようにして政変王として立ち上がるのか。
時代の闇が渦巻く中、迷いながら、悩みながら、自らの道を模索する、成長譚としても大河ドラマとしても読める物語だと思います。お好きな方は、是非。