正義、願い、祈り……それらを抱く心は、本来、自分だけのものである筈です。しかし、この物語の中では、教会によって正義や祈りの枠組みが決められており、そこから外れた者は異端者として排斥されています。
そんな固定された価値観の中で出会った、教会の頂点に立つ若き教皇と、それに抗う異端者の青年。
そして二人は、揺るがぬ意志と願いの下、契約という形で共に在ることになります。
その彼らが互いについて交わす問答は深く、流れるような文章と相まって、単なる駆け引きにとどまらず、人間の本質を問い合う哲学の語りのようです。
本来ならば対極に位置する立場の二人が、共に在ることで何を為していくのか。契約から始まった主従関係は、いつかその形を越えて、既存の枠組みを変えていくことになるのか。ご興味を持たれた方は、是非。