一つの出逢いが運命を左右する、再生の旅路

片や、記憶を失い、己れが何者かもわからぬまま、ただ何処かへ帰らなければならないという衝動に突き動かされる青年。
片や、大切な人の遺言と何か大きな重荷を背負っている、白い少年。
大きな喪失から始まった二人が出会い、共に旅をすることによって絆を深め、少しずつ何かを得ていく。どちらかがどちらかを一方的に救うのではなく、共に在ることによって互いを救い合い、胸に空いた大きな穴を別の何かで埋めていく。これは、そんな旅の記録であり、物語です。
それに彩を添えるのが、重厚な世界観と、まさにそこで『生きている』と思える登場人物たち。そして、血沸き肉躍る戦闘シーンの数々です。本当に目の前で立ち合いが行われているかのような臨場感ある描写は、圧巻の一言に尽きます。
まだまだ序盤を過ぎたところなので、彼らが最終的にどこにたどりつき、何を見出すのかはわかりませんが、是非ともその終着点を見届けたい。そしてその時は、二人とも笑顔で居て欲しい。そんな風に思わせてくれる再生の旅路を共に辿ってみたいと思われた方は、是非。

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