「静けさが、いちばんうるさい」
- ★★★ Excellent!!!
読み終わったあと、耳が少しだけ澄む感じが残りました。無音の曲を軸にしながら、教室のざわめき、廊下のチャイム、図書館の静けさ、スマホの振動みたいな“生活音”が丁寧に積み重なっていて、場面がすっと立ち上がってきます。
二人のやり取りも、派手に盛り上げるというより、視線の揺れや間の取り方で温度が上がっていくタイプで、その控えめさが心地いいです。言葉にできない側の気持ちが、ヘッドホンの位置や音量、曲が流れる/流れないの切り替わりに表れていて、読んでいて苦しくなる瞬間もあるのに、ちゃんと優しさが残る。
最後にもう一度「4分33秒」が効いてくる余韻が好きでした。