ずっと、描きたかったんだ。

 主人公は散らかった部屋で、一人でキャンバスに向かっている。
 余裕がないのに、なけなしの金で買った赤い薔薇は、缶ビールに活けられていた。それだけで、一人の部屋は机の上だけは華やいで見えた。しかし、主人公の絵はいくら描いても完成しない。まるでキャンバスの上のその薔薇は、死んでいるように見えた。
 そうしている内に、薔薇は枯れていき……。
 しかしある時、主人公はこの薔薇の本当の色を見つけるのだった。

 生と死の間で懊悩する主人公が、ひたむきに絵に向かう姿が目に浮かぶようです。
 静かな部屋。枯れていく薔薇。生きることと死ぬこと。
 主人公男性の苦悩と想いを、ご堪能下さい。

 是非、御一読ください。

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