知性が交差するとき、盤上に現れるのは量子の揺らぎか、精神の刃か。
- ★★★ Excellent!!!
量子力学と将棋という、まるで異なる領域を繋ぎ合わせた作品。
読んでいると、頭では理解しようとするのに、なぜか心が浮遊してしまう——そんな不思議な読書体験でした。
如月美麗と黒田鉄心、二人のキャラクターはまるで対極。
揺らぎと規律、誘惑と禁欲、量子と精神。盤上の戦いは、ただの勝負ではなく、知性と欲望のせめぎ合い。
難解な言葉遣いに戸惑いながらも、読み進めるうちに、これは「読む」というより「浴びる」作品なのだと気づきました。情報の洪水に身を委ねることで、むしろ感覚が研ぎ澄まされていく。
読み終えた後、静かに余韻が残ります。
これは、量子のように確率的で、精神のように揺らぎ続ける物語でした。