輝きそこなっても、それでも人は生きていく。心揺さぶられる人間ドラマ

誰しもが輝きたい願望を持っていると思います。

たとえば、夢が叶う。
華々しい活躍をして注目を集める。
望むものをすべて手に入れる。
生きがいを見出して、楽しい人生を送る。

自分の人生が、存在感を放つ一等星のように輝くものであったら、どんなにいいでしょう。
星の等級は一等星から六等星までありますが、肉眼で見える限界が六等星。
つまり、肉眼で見えない星もある。
『ノラの食堂 輝きそこなった星の群れ』は、そんな肉眼では見えない、でも確かにそこにある星の群れのお話であるように思います。

作者である柊さんの作品は、人を見つめる眼差しが温かいのが特徴のように私は感じているのですが、この作品も温かみがあります。
生きるということはいいときばかりではなく、他者によって人生が曲げられてしまうこともあります。
納得のいかない、不本意な人生。その中で出会った人々によって、人生に新たな道ができていく。
主人公にとっては、子供の頃に思い描いていた人生ではないでしょう。それでも、死の間際「これで良かったのだ」そう思えるような気がします。

輝くことができずにひっそりと生きている人、そのひとりひとりに人生がある。
幸せを掴み取ろうと精一杯に生きている。
光が遠くまで届かなくても、自分のいる場所で輝くことができたら、それでいいのかもしれません。

なんだかんだと書きましたが、ノラの食堂に出てくる料理が美味しそう!読んだ人みんな、「食べたーい!!」と唾を飲み込むこと間違いなし!
グルメと人間ドラマとちょっぴりの恋愛感情(?)と目の奥が熱くなる感動と、短編ながらにたくさんの味を楽しめる作品です。


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