概要
※昭和の日本を舞台としていますが、この作品はフィクションであり、実在の人物や地域、組織などとは一切関係なく、特定の物事や思想を貶めたり讃える意図もありません。
※性描写・暴力描写がありますので苦手な方はお気を付けてください。(エピソードに*のある話)
※BL要素はありますが、著者はBLと思って書いていません。
※こちらの短編『絡まる』を元に長編化したものです。これを先に読むとネタバレになる部分があります。
おすすめレビュー
新着おすすめレビュー
- ★★★ Excellent!!!読んでいて息苦しくなるほどに揺さぶられる
「男同士のクソデカ感情」という、なかなか見かけないタグに惹かれて訪れました。結果、大正解でした。
激動の昭和に揉まれてきた男二人の重苦しい感情と関係性に引き込まれ、続きへ続きへと読み進める手が止まりませんでした。
時代考証から人間臭い感情まで、何もかもまざまざとしたリアリティがあり、読んでいて息苦しくなるほどに心を掴まれ、揺さぶられました。
良太郎も邦正も、決して善人などではなく、それどころかドロドロとした醜い感情を抱えて生きている。だからこそ魅力的で、彼らの紡いでいく物語が妖しく輝いて見えるのだと思いました。
エンディングもざらりとして、永遠に心に引っ掛かり残るような感覚に襲われ、それ…続きを読む - ★★★ Excellent!!!カクヨムの読者は、果たしてこの領域に達しているのであろうか?
企画を立ち上げた時、まさにこのような作品を求めていたというのは偽らざる本音である。
しかし、実際にその作品を目の当たりにした時
この作品を受け止めきれるだけの読者がカクヨム内に果たしてどれだけいるだろうか、
という危惧も芽生えることとなった。
……私「ごとき」が言うことではあるまい。
その自覚はあります。
しかし、☆の数4桁を優に超える作品が乱立する中、この傑作は私の添えた星にて、ようやく三桁に到達したばかり。
見る目が無いよお前ら、そう言いたくもなる。
少なくとも、こんな作品が埋もれたままで終わっていくのはどう考えても間違っている。
作品の内容に触れるまでもなく傑作であることは間違い…続きを読む - ★★★ Excellent!!!泪橋に消えた男
作者さま、実際の凶悪事件をもとに犯人を主人公にした小説を書くとピカイチなものを書けそうである。
人間の暗黒面を書く。これは誰にでも出来ることではない。
カクヨムで圧巻の一作を選べと云われたら、少なからぬ人がこの異色作に票を投じることだろう。
暗く、激しく、連続ドラマ小説を思い切り野蛮と殺伐に片寄せたような昭和一代記。
陰惨な描写があっても乾いた筆致のせいかとても読みやすく、その乾きが主人公の心をよく映している。
生まれ乍らの餓狼、良太郎。
その擦れっぷりには唖然となるが、使役される立場に生まれ、戦争にとられ、帝国主義崩壊の瓦礫の下からどぶねずみのように這い上がってきた日本男…続きを読む - ★★★ Excellent!!!俺がネガならあいつはポジで。
強さ(男らしさ)
自由
この作品が僕に深く刺さった理由がこの二つです。どちらも僕が強く求めているものです。この作品ではこれら二つが徹底的に蹂躙されます。でも安心してください。激しい暴力の後にはどこか爽快感さえあって、これは、被虐嗜好とはまた別の(根っこは同じなのかもしれませんが)趣があります。
繰り返しますが、強さ、男らしさ、自由、健やかさ、何もかもが地面に叩きつけられ踏まれます。
でも、いきなりめちゃくちゃにされるわけでもないんです。なんて言ったらいいかな……とにかく、こんなに心乱れた読書は久しぶり。
主人公の良太郎は「強さ」を求めます。
もう一人の主人公邦正は(僕が察するに)「自由…続きを読む - ★★★ Excellent!!!呪いと愛憎…生涯にわたる男と男のクソデカ感情が、読者の情緒を掻き乱す!
「いつかお前の人生をめちゃくちゃにしてやる」という強い意思だけが、その人の生を繋ぐ。
そんな巨大な感情を互いに抱き合う2人からしか得られない栄養素があります。
戦前、戦時中、そして戦後と、激しく移り変わる昭和の時代。
社会背景や家父長制の男女観、当時の空気感までもが伝わる精緻な筆致で描き出されるのは、男2人の深い因縁の物語です。
いろんなしがらみに囚われ縛られ続けた彼らの、血よりも濃くて死よりも苦しい魂の軛に、みんなで悶え転げよう!
冒頭から綴られる「おとなの男はつよい——」という一連のフレーズ。
そしてタイトルにもある「梨の実を割る」描写のイメージ。
作中で繰り返されるこれらの表現を、…続きを読む - ★★★ Excellent!!!梨に始まり、梨に終わる
梨畑の美しい描写から始まるこの作品。
読者は昭和史をなぞりながら、男二人の行く末を見守ることになるのだが、心かき乱されるシーンがいくつもあり、考えさせられるテーマを多数内包している。
男とは。女とは。昭和という時代は何だったのか。人間の在り方。変わるもの、変わらないもの。
暴力や性といった、見つめ辛い事柄を真摯に描いている作品でもあり、登場人物たちが皆、血の通った生々しい存在として関わってくるので、そこも見どころである。
男二人の関係は、BLやブロマンスといった表現がそぐわない独特なもので、「良太郎と邦正」としか言えない唯一無二のものである。
そんな二人の結末をどう捉えるのか。
私は「彼らら…続きを読む