この文体にしびれる

怪奇と幻想を書かせたら天下一品の武江成緒氏による壮大な和風ファンタジーです。

深海を棲み処とし悠久の時を生きる巨大な螭が気まぐれに月を呑もうと試み、海面へと浮上します。
しかし、そのことによって引き起こされる自然現象は、島を丸ごと呑み込み、人間の営みを一瞬にして藻屑と化してしまうほどの破壊力を生むのです。

迫り来る大災厄の危機を描きながらも、作者の揺魂の筆致は、まるで古語の調べを纏った妙なる詩歌のようであり、読む者の五感を刺激してやみません。
この感覚を、是非多くの方々に味わっていただけると幸いです。

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