概要
太平洋戦争時。長瀬遠子は軍港の街から赤十字の看護婦になった。
姉妹篇「黒いすずらん」https://kakuyomu.jp/works/16817330654513903059
おすすめレビュー
新着おすすめレビュー
- ★★★ Excellent!!!この作者は何者なのか?!
世の中には、信じられないレベルのものがいくつもある。
超能力とか、その類いじゃない。
素晴らしい科学技術や絵画とかです。
朝吹さんが書いたこの小説も、まさにそう。
───体験談?
そう思ってしまうぐらい、リアリティがあります。
もちろん、自分も戦争は知りませんし、銃撃戦とかに遭遇したこともありません。
ただ、その描写が訴えてくるんです。
───戦争の惨禍を。
また、それは肉体的な悲惨さだけではありません。
戦争という悲惨な状況の中でも精一杯に生き、恋をして、愛する人が亡き後も、その人を胸に抱いて懸命に仕事をして命を燃やす。
今、日本はなんだかんだと言いながらも平和で治安も良く、平和な…続きを読む - ★★★ Excellent!!!死に方用意それには及ばぬ、戰場を生きた女達─私達が一番戦争を知っている
腰に下げた自決用の手榴弾、青酸カリ
招集令状
死に方用意───
私はこの手で二人殺している
最年長二十二歳……
これは、兵士の話ではない
戦場に赴き、
兵士とともに銃弾の中を駆け抜けた
赤十字看護婦の話である
戦時招集を受け戦地に赴き、多くの屍を越え
数え切れない同僚の死を見送って
それでも生き残った……
ある赤十字看護婦の回想録に
その孫とともに耳を傾ける物語です
───圧倒的筆致による、激しき時代の描写の間に垣間見える
儚く、ささやかな一瞬の心の交錯を描き切る
これは……本当に、「無料で読んでいいものなのか」
と戦かずにはいられない
戦時における、異常と正常の同居に見る心情…続きを読む - ★★★ Excellent!!!戦場の看護婦ならではの視点で語る、生身の人間の姿
第二次大戦中、従軍看護婦として戦地に赴いた女性の記録。
あえて看護「婦」という呼び方をするのは、それが女性であることが物語の中で非常に大きい意味を持つからです。
淡々とした描写がかえって戦地のむごさを生々しく伝え、極限の状態におかれた人間の姿を浮かび上がらせています。その中で赤十字のバッジだけを心の支えに従事した看護婦たちの強さとたくましさ。狂気の戦争へ駆り出された男たちが死に際にすがりたくなるのは、やはり女性という安心できる存在だったのでしょう。その心情は主人公のはかない初恋の相手にも重なります。
戦場の現実を看護婦としてつぶさに見てきた者の言葉の重さ。その人生を読者に追体験させるような克…続きを読む - ★★★ Excellent!!!戦争は従軍看護婦が知っている
卓越した文章力で描写された戦争は、
戦争なんてしたくないと、人々に強く思わせる。
凄惨で無意味な戦争が、数年単位で続いている今だからこそ、読んで欲しい。
看護婦として戦禍に飛び込んでいった少女の胸のブローチは、彼女たちを闇へ闇へと追い込んだ。
そんな勇ましい少女のつましい初恋の瑞々しさ。
重症を負った兵士の手足などを切断するため、
負傷兵を押さえつけたのも看護婦です。
切り落とされた後の、筋肉や血管の断面図。
失血症にならないために、懸命に包帯を巻いた彼女たちの胸にあるのは、
ただ、目の前の人を助けるという信念だけ。
光を描くには、影を濃く、より一層深く描かなければなりません。
光と…続きを読む