概要
ひと鍋の湯気の向こうに、函館の百年と故郷の記憶があった。
函館の大学一年生・遙は、大晦日に友人の沙彩を弁天町の実家へ招く。祖母が煮込む鯨汁を前に、沙彩から函館の食文化について尋ねられた遙は、故郷の味を知らない自分に気づく。郷土史研究家・神木薫教授を訪ねた遙は、鯨汁に込められた冬を越す知恵、正月を彩る鯨ベーコン、戦後の子どもたちを支えた竜田揚げなど、函館の食卓に刻まれた歴史を学んでいく。さらに学校給食での鯨料理の復活を通じ、食が人々の記憶をつなぐことを知る。祖母の鍋の湯気から始まった小さな探究は、港町・函館の百年の歩みをたどり、故郷の文化を未来へ受け継ぐ大切さを遙に教えてくれる。
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