自称14歳の少女「ハル」は、実際には約3300年前の古代エジプトに生きていた——本当の年齢は3385歳。
彼女は紀元前1347年に、なんと生きたままミイラにされてしまうのです。
このあまりにも大胆で飛躍した設定に、冒頭から胸ぐらをグッと掴まれるようにして物語へ引き込まれました。
さらには、発掘されたミイラとして現代日本の美術館に運ばれたハルが、展示室で意識だけを取り戻すという展開へ。
どうでしょう、この唯一無二の発想。
作中では古代エジプトの濃密な歴史描写もふんだんに盛り込まれており、時空を超えた異国情緒に浸る心地よさも抜群です。
なにより、ハルの一人称視点が独特の求心力を放ち、ミイラ視点による観察はなかなかお目にかかれない。
まさに奇抜な発想で遊び尽くし、その発想から物語が持つエンタメとしての力を100%引き出しています。
物語が進むと日本の神様たちも登場し、舞台はさらに賑やかさを増していきます。
親近感のわくカジュアルなテイストで、とにかく読んでいて楽しい。
次は何が飛び出すか分からない、そんなワクワクが詰まったビックリ箱のような本作を、これからも一読者として楽しませていただきたいと思います。
古代エジプトで生きたままミイラにされた少女が三千年後の現代日本で目覚める。そんな絶望的な始まりからまさかの現代サバイバルへ突入する展開が面白すぎます!
見世物として展示される絶望感や現代のトイレを神聖な水場と勘違いして美少女の姿を取り戻すカルチャーショックの描写が絶妙で解像度の高さに驚かされます。
冷たい雨の夜に太陽神ラーの光を宿した少年に救われハルという新しい名前をもらうシーンはカタルシスがエグいです。孤独だった彼女が温かい家族に迎えられる姿に思わず胸が熱くなりました。
古代の重厚な設定と現代でのコミカルで尊い日常のバランスが最高。都市ファンタジーが好きな方に絶対おすすめしたい傑作です🚀