「旧校舎の男子トイレ」という、いかにも何かが出そうな場所で待っていたのは、恐怖よりもずっと静かな優しさでした。最初は主人公を驚かせるだけに見える「ドンッッッ」という音が、読み進めるうちに意味を変えていく構成が印象的です。最後に鏡へ残された言葉によって、それまでの怪異の見え方まで反転します。いじめで「もういい」と思い始めた少年と、姿を見せずに生きる側へ押し戻す先輩。その距離感が切なく、読後には怖さより温かな余韻が残る一編です。
怖いホラーかと思ったら、優しいホラーでした。人がどうかは関係ないですね。寄り添ってくれる、そんな存在がいるだけで、救われるのが人生だと……。
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