労働力の再生産、という考え方はトレンドではないかもしれませんが、直感的に正しいと思われます。毎日働けるのは、帰宅して食べて寝て休んで遊んで、という時間があり、それに費やす資金が必要です(生活費+娯楽費)。
友人の友人の厚意で、某ビッグ・テック関連のオフィスを見学する機会に恵まれたのですが、ご存じの方もいらっしゃる通り、複数のビュッフェ式レストランにカフェ、飲み物とスナックのチョイスを揃えたキッチン、バスケットボールのコートとプール、ボードゲームやアーケードゲーム、ゆったり座れる公共スペースのデザインは楽しくファッショナブルで、ここはオフィスなのかリゾート施設なのか、と驚きました。もっとも要求される成果は厳しいものであると思います。
さて、アジア諸国の労働環境が過酷であることは有名です。経済成長を加速させるためにはコストを抑えて長時間労働をしなければなりません。それでも生活がより豊かになるならば望んで働く労働者はいると思います。ただ収入は増えずに(人的、成果主義的)プレッシャーと長時間労働に耐えろ、という会社文化では「労働力の再生産という観点からは、あまり効率的でない」。
心身ともに疲れが溜まった状態で働いて成果を上げろ、というのは無理な話です。(忍耐と忠誠を美徳としている社会では無視されがちですが、普通に無理ゲーだと思うんですよ……どういうこと)と、改めて気づかされました。このご時世、AIがデベロッパーとして働いてくれるので、ハード開発でもソフト開発でも付加価値をもたらすものはUX/UIと“ユニークネス”であり、“コストパフォーマンス”ではないわけです。某ビッグ・テックが労働環境と福利厚生に投資するのは、ハードワークはもとよりインスピレーションを生み出す人材の育成を重視してるからなのかな、と思いました。疲れきっては発想も生まれない。
企業がインプットを助ける、文化的な環境を作りだす、ということでしょうか。そういうことができるのは、一部の大企業だけだと言われるかもしれませんが、もっとこう…… 公共サービスやコミュニティと協力してできることもあるのではなかろうか。より多くの利益を生み出すことが企業の目的ではなく、生み出した利益をどのように使うかが企業に対する評価になれば、よりよい循環に繋がるのではないだろうか、などと考えました。
