• 異世界ファンタジー

第13話 町の名前と身分証(捕:時計と標準長)

ヴェイザ(Vaða)
 古ノルド語の「歩いて渡る(wade(水中を歩いて渡る)の語源)」。北側に「玄奥の森」が近接するアウストリ川(東川)の浅瀬を守る町。辺境ながら重要拠点なので帝国直轄領。中央派遣の代官が治める。このため治安が良く、平和な日本から転生した主人公でも今のところ危険な目に遭っていない。

 魔物狩組合の身分証は只の札。便利な機能は何もありません。木札と青銅札は組合の刻印と町の名前だけ。黄銅札からは名前が刻印され、他の町の組合でも通用します。白銅札になると様々な特権が得られますが昇格は困難です。札の順番は、地球での合金利用の歴史を反映させています。

・青銅:銅と錫の合金。数千年前から利用。10円玉。
・黄銅:銅と亜鉛の合金。真鍮。紀元前後から利用。5円玉。
・白銅:銅とニッケルの合金。近世より利用。50円玉と100円玉。

 わたくしの世界は1日が24時間、1時間(一刻)が60分、1分が60秒です。下手に変えても混乱しますので。地球では最初の機械式時計(重錘式で鐘を鳴らす時計。文字盤も針もなし)が1300年頃。最初の振り子時計が1656年発明。当初は振り幅が大きかったため、振り子が外に出ていました。

 わたくしたちがイメージするような、振り子が容器の中に納まった縦長の振り子時計は1671年登場(周期2秒で正確になった)。この辺りの文明を想定しています。日本では安定した時代ですが、欧州は戦争と混乱の世紀。わたくしの世界の実像は、いずれ少しずつ描写させていただきます。

 橘花くんの推測とは異なり、この世界の標準長は、嘗ての地球と同じく「2秒間隔で刻む振り子の長さ(99.7cm)」という設定。1668年にこの長さが提唱され、長い議論を経て「北極点と赤道を繋ぐ子午線長の一千万分の一」になりました(1798年に測量)。地球と同半径の「我等世」は未実測で計算値です。

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