異世界の言語がインストールされるということは、母語が二つになるようなもの(但し後付けのため馴染むまで時間が掛かる)。すると日本語で考えた際に異世界の単語が対応するかどうかで、異世界の事情がある程度は推測できる筈です。最低限「右か左か分かる」くらいの難易度で転生できるようにしました。
そして神様がなるべく漢字表記で翻訳してくれたという設定により、わたくしたちのような表意文字・表音文字の混合話者にとっては手助けとなるようにしました。しかし、両言語の対照だけでは存在の有無しか分かりません。賢い三人は、慎重に異世界生活を開始することになります。
音訳は英語っぽい響きです。わたくしに新言語を創る才はありませんので、これはもう定石通りに共通語が英語「風」に聞こえることにしました。尚、種族毎に異なるモデル言語を設定し、転生場所周辺では地名や人名などは古ノルド語とその関連言語「風」として、歴史と文化の多層性を表現しております。
銃に関しては、火薬と手砲が存在するという設定。人類そっくりの生物がいる惑星では、鉄も硫黄も炭も糞尿も溢れているでしょうから。しかし地球でも銃の原型は12世紀に発明ですし、近世初期相当の文明段階でも、魔法の火があることで逆に銃火器の発達が遅れる、という人類社会は十分に有り得ると思います。
また、所謂「鑑定」は存在しません。その代わりとして「博物学」を設定しました。しかし、これをとった橘花くんも「動植物事典などの内容を覚えている状態」というだけで、何かを見たときに情報がポップアップすることはありません。絵や文章の記憶を頼りに現物を見て推測するのみです。