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第78話 崩甜尿(捕:少年)

 「崩甜尿」は造語です。「糖尿病」は新しい病名で古くは「飲水」や「消渇」。江戸時代にオランダ医学が伝わると「尿崩」(オランダ語Pisvloed「尿の洪水」)となりました。英語のDiabetesの由来はギリシャ語の貫通(dia)流れゆく(bainein)で、蜂蜜様(mellitus)を付けてDiabetes Mellitusが正式名称です。

 Diabetesの文献初出は2世紀で、尿糖の測定が可能となった19世紀前半までは「甘臭の多尿と口渇」が特徴的な症状ですので「崩甜尿」と名付けることにしました。ちなみに血糖測定が可能となったのは20世紀後半。「蜜」ではなく「甜」を使ったのは、患尿が蜂蜜系よりも果物系の甘臭と感じるためです。

 膵臓が消化器官であることが分かったのは17世紀半ば。それまでは「胃のクッション」とされていて、膵液も実際とは逆に十二指腸から膵臓に流れると思われていました。膵臓が糖尿病に関わることが分かってきたのは19世紀。ランゲルハンス島の発見とその役割の推測は19世紀末になってからです。

 糖質、脂質、卵白様物質の三大栄養説は何と20世紀になってから提唱されました。わたくしが例えば17世紀に飛ばされたとして、当時の医師に、糖尿病の原因は膵臓にあると説得できる自信は絶無ですね。リナリア様が納得したのは、ショウくんの治療と何より魔力に直接触れたのが大きいです。

 フェドソンくんはfade(褪せる、萎れる。古仏語からの借用古英語)+sonr(古ノルド語で息子)。養鶏場経営者の長男でまだ9歳。もう一回か或いは二回、登場する予定です。お礼として新鮮な卵を「袋道亭」離れに持参してくれます。やっとモモが自慢の腕を少し振るうことができます。

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