異世界モノには欠かせない現代知識無双ですが、「神が実在する剣と魔法の世界でも受け入れられる知識・技術」という条件の下で主人公たちを活躍させる予定です。まずは、江戸時代初期に日本で始まったものの、獣脂を広く利用していた欧米では近代まで行われなかった植物油の脱色から。
綿実油の脱色は本文の通りに、17世紀の元和年間(豊臣家滅亡直後)に偶然、発見されました。幕府主導で稲作の裏作にできる菜種油(水油)の大量生産が行われましたが、衣服用に欠かせない綿花の副産物である綿実油の脱色技術が開発(白油)されたことで、植物油が広く普及することになります。
春植えの稲と秋植えの菜花、春植えの綿花と秋植えの麦、などの組み合わせで休耕を挟み連作障害を避けつつ、水利が十分でない地域も含めて、穀物と衣服原料と油を確保していました。四協帝国でも既に同じことが行われていますが、油の脱色技術は未発見だった、という設定です。
尚、現代の植物油は、酸性白土(モンモリロン石)を酸化熱処理した活性白土で、効率よく色素等を吸着して脱色しています。酸性白土は日本でも産出する天然の白粘土で、ローマ時代から羊毛の脱脂に使われてきましたが、西欧では19世紀に至るまで石灰や白土による植物油の脱色は行われませんでした。
東京油問屋市場『百万都市江戸の灯を支えた油問屋』