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閑話 恩寵深き尊厳者(補:代官と衛兵隊長、次回更新予定)

 クンディ様もセルウァたちも主人公の正体と能力について擦り合わせなかったため、様々な点で誤解してしまっています。複数人類種が築く複雑な封建制身分社会では、腹を割って話し合うのは難しいのでした。尚、セルウァには森人の血が入っていますし、立場からも森人の思考になります。

グラティオスス(Gratiosus)
 恩寵深き(gracious)の語源、「恩寵(gratia)」の形容詞です。光と時空の両素質を持つ者に対する尊称に当てました。第37話で触れていますが、才能と知性を要求される恩寵魔法は素質のみで終わる者も多いです。

アウグストゥス(Augustus)
 ローマ皇帝称号として知られるアウグストゥスは尊厳者と訳されますが、両恩寵魔法の素質保持者の中でも両方とも第三以上に達する者の尊称に当てました。語源は「卜占官(Augur)によって吉兆を持つとされた者」。

エレンドラカ(Ærendraca)
 古英語の「遣わされし者」。単なる使いではなく、役割を委任された権限者のニュアンスを持ちます。共通語で見目麗しい者への誉め言葉はエランダ(Erranda、errandから半造語)ですが、本気で使徒様と呼びかけるとショウくんたちにはエレンドラカと聞こえます。森人語はアンゲロス(Angelos)です。

ヴェイザ衛兵隊長(Castriprior)ブラズ(Blað)男爵
 古ノルド語で「草の葉(blade語源)」。衛兵隊長は城塞の(castri)筆頭者(prior)。約400名の実戦部隊に加え、緊急時には直轄領動員兵の総指揮権を持つので、筆頭佰長(プリミケントゥリオPrimiCenturio)格。ローマ軍団で筆頭百人隊長はプリムス・ピルスなので造語です。第三段階砂魔術士。

ヴェイザ代官(Rector)ラオフ(Laof)男爵
 古ノルド語で「木の葉(leaf語源)」。直轄領の代官(レクトルRector)は、ローマ帝国の総督を当てました。各貴族領の代官に相当する徴税官はプロクラトル(ローマ徴税官procuratorから)。両名とも領地を持たない官僚貴族。モブキャラですので、その他大勢というニュアンスで名付けました。

※次回更新は7/11(土)を予定しています。

6件のコメント

  • いつもながら、用語のひとつひとつまで、奥深いですね!
  • 翠川あすか様
     有難うございます! 先に進むにつれ大変になってきているのですが、もはや意地でございます。頑張ります!
  • グラティオススにアウグストゥス、いい感じに中二病をくすぐってくる響きです!
    翠川さんもおっしゃる通り、奥深いなぁと思います。設定もそうですが、名前ひとつにも、きちんと由来や意味を考えられて当てているのがすごいです。もはや、紫瞳さまの作品中には、無意味な事柄ってあるのだろうか…と汗が出てくるほどです。
  • 佐子 八万季さま
     固有名詞に造語が多いと、ただでさえ読書体験を要求する拙作が重くなると思いまして。漢字表記だけでも想像できて、既存言語の意味を当てることで読んだときに統一感が出て少しでも負担感が薄れるように、と頑張っているつもりです。いつも有難うございます!
  • すみません。翠川あすか様のコメント、そのままの感想を持っておりましたら、そのコメントに対する紫瞳鸛様の、もはや意地でございます。の返しが面白すぎで笑ってしまいました。
    いつも、小説と近況報告とセットで楽しませて頂いております。ありがとうございます。
  • 苗田はな様
     いつも有難うございます! なお一層、頑張ります! わたくしは紫表紙本を託されて紹介している筈なのに……筆が滞りがちです。いえ、翻訳が難しいだけなのです。きっと!
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