太陽神・天照は、
常世で誰もが認める 最高位の神。
その立場は、
“求められること” が当たり前で
“与えること” が義務だった。
完璧で、崇拝され、
誰も彼に逆らわない。
でも彼は、生まれた瞬間から
その孤独を与えられてきた。
⸻
夜姫と違い、
彼には 名前も、役割も、
すべて最初から決められていた。
「お前は光。
世界を照らし導く存在であれ」
…息ができないほど重たい使命。
誰も
「天照は何が好き?」
なんて、尋ねなかった。
⸻
夜姫に出会った日。
光を向けた瞬間──
彼女は怯えた。
消えてしまいそうな小さな影。
誰も振り返らない、
名もない神。
けれどその目だけは、
太陽を見るのを恐れていなかった。
そのとき天照は初めて知った。
自分を“神”じゃなく
一人の男として見る瞳が
この世に存在することを。
⸻
天照が厳しいのは、
完璧だからじゃない。
壊し方を知らないほど
大切に想しているからだ。
奪うのは簡単。
独占もできる。
けれど夜姫の心を手に入れるには
初めて “自分自身” を差し出さなければならなかった。
夜姫が誰かに手を引かれた時
胸の奥が焼けるように痛んだのは──
嫉妬なんて感情を
天照ですら知らなかったから。
⸻
天照はまだ気付いていない。
夜姫が泣く時
自分の心も泣いていることに。
けれど読者は知っている。
彼が既に “恋に堕ちている” ことを。
⸻
夜姫の夜が
太陽に届く日は来るのか。
そして太陽は
その夜を抱きしめられるのか──
その答えが綴られる瞬間を
ぜひ一緒に見届けてください。