おはようございます。
年に一度の楽しみが、そろそろ幕を閉じようとしています。
常世の葡萄畑開墾プロジェクトが仕事だったら、どんなに楽しいだろう。
……現実のPJは、なかなかに苦しいですね。
さて今回は、
天照が「今の天照」になった理由について、少しだけお話しします。
この物語のプロットは、最初から夜姫を起点に始まりました。
一人を思い続けた、ひとりの女性の神話を書きたかった。
それが、正直な動機です。
簡単に書けば一行ですが、
これを「有言実行」で貫き、
一途に想い続け、なお壊れず、破綻しない男を成立させる――
これが、とにかく難しかった。
今の天照の原型を、
一国の王にしてみたり、
英雄にしてみたり、
勇者にしてみたり……
何度も試しました。
けれど考えれば考えるほど、
「判断を下す立場の男」が、
百年の一途な想いに気づかず、振り向けないはずがない。
夜姫は健気で、可愛くて、しかも積極的。
どう組み合わせても、ロジックが成立しない。
何度再構築しても、どこかで破綻してしまうのです。
都合のいいキャラクターに成り下がる――
それだけは、絶対にしたくなかった。
そうして辿り着いた、
破綻しようのない「ひとりの男」が、今の天照です。
神にすることで、彼は「選択しない」。
引き受け、世界を、秩序を、役割を投げない。
誰かに押し付けない。
約束はしない代わりに、裏切らない。
嫉妬深いのに、相手のせいにはしない。
自分の感情を危ういものとして扱い、制御し続ける。
長寿であるがゆえに、
相手の人生を奪うことを、決して選ばない。
読者の皆さんが知っている通り、
彼は夜姫に出会ったその時から、
逃げ場のない愛に、すでに縛られています。
夜姫が唯一無二で大切な存在だということも、
本人は分かっている。
ただし――
感情の自己理解が、致命的に遅い。
「これは守護だ」「父性だ」
「宿命だ」「俺は何を試されている?」
天照の最大の欠点は、
恋を、恋だと知るまでに時間がかかりすぎること。
だからこの物語は、
夜姫の百年の恋であり、
同時に、
天照の千年の切ない物語でもあります。
孤高であり続ける彼が、
それを手放すまでの、長い時間。
二人が、ただひとりを選び続けた物語を――
どうか、最後まで見守っていただけたら嬉しいです。
