https://kakuyomu.jp/works/16817330649026392153/episodes/822139844815969463たまに「中央平野」という言葉が出てきますが、これは王国の経済を支える広大な平野で、大穀倉地帯となっています。
他国へ輸出できるほどの小麦が清算されていて、稔りの季節には一面の金色に染まります。
(ただし、小麦は連作障害を起こすので、二年おきくらいに休ませて、クローバーを植えます。
クローバーはマメ科なので、窒素を固定する働きで土壌を回復させますし、食用・薬用にもなります。)
国境の北端が黒城市、西端が王都、南端が赤城市、東北が蒼城市となっています。
蒼城市だけが国境とは関係ありませんが、もともとはここが国境で、三百年以上昔には、すぐ東にタブ大森林が迫っていました。
王国は昔から大森林から侵入してくる、オークをはじめとした魔物に悩まされていて、蒼城市が築かれたのは、これらを撃退するための前線基地という位置づけでした。
多くの召喚士が動員され、取りあえず魔物は駆除されましたが、侵入がなくなったわけではありません。
そこで、王国は大森林との緩衝地帯を作るため、数キロ幅で森の伐採を始めます。
伐った木材は建設資材として利用できますし、膨大な手間と労力がかかるものの、残った樹木の根を撤去してしまえば、農地や牧草地として利用できそうでした。
そこで、王国は農家の三男以下の男たちに武装開拓移民の募集をかけ、この荒涼とした空き地に送り込みました。
彼らは村の周囲に強固な土塁や塀を巡らし、召喚士に代わって侵入してくる魔物と戦いました。
これが辺境の始まりで、三百年をかけてその範囲は東へ東へと拡大していきました。
大森林は古代の寒冷期に形成された針葉樹林でしたので、土地が痩せていて肥沃な中央平野のような収獲が望めません。
そこで辺境の人びとはヒツジやヤギを飼って放牧し、肉や乳を利用しながら彼らの糞尿を堆肥としてすき込み、徐々に土壌を改良していきます。
そして、農作物も中央平野のような小麦ではなく、ジャガイモを主力とし、また桑を植えて養蚕にも取り組みました。
現在では辺境の生産額は、中央平野にはまだ及ばないものの、過半にまで迫っています。
今回のザイル村は中央平野の西端にある、小さく古い村です。
山の麓の村なので、農業だけではなく林業も盛んです。
特に冬の間の農閑期には、夏の間に山で伐った木を馬橇で運んで、数年かけて乾燥させてから木材に加工して出荷しています。
また炭焼きも盛んで、王都や白城市などの大消費地の需要にこたえています。
そんなわけで、次回は迷宮探索の開始です。どうかお楽しみに!