生徒会からの挑戦状 - カクヨム https://kakuyomu.jp/works/16818622176601632924
自作のオカルト設定についてです。フィクションだからまあいいのですが、一応無理矢理こじつければ現実としての説明がつくというのが私の好みだったりします。誰も興味がないと思いますが、その観点から少し考察してみたいと思います。
①「犬神」は存在するのか?
一番のオカルト設定は、お話の軸となっている水地さんの「犬神」です。水地さんは「犬神」を遣って、いじめの加害者を病院送りにしています。
「犬神」の作り方ですが、イヌを首だけ出して地面に埋めて、飢え死にしそうな時に首を切って首だけ祀る。というものです。これはWikipediaに書いていた諸説を混ぜました。Wikipediaに記載の一次情報(石塚尊俊『石塚尊俊 著. 日本の憑きもの : 俗信は今も生きている』未来社,1959,pp.55-62.)を確認したところ、四国・九州あたりの田舎に様々な伝承があるようですが、"飢えた犬の首を切る"という部分は結構共通してるようでした。
水地さんはどこから知ったのか、実際に生きているイヌを使って「犬神」を作っているので完全に常軌を逸しています。イヌだけではなくて、その他の小動物も練習台として使っていたようなので、完全にヤバい人です。というか犯罪です。
そして、「犬神」が遣えるようになったと自分で思い込んでいます。こういう人から復讐されたら、加害者の5人はただでは済まないでしょう。水地さんの認知では、「犬神」を使って復讐をしたということになっていますが、実際のところはどうなのでしょうか。例えば、誰とは知らない人から、首チョッパんされた動物の動画が執拗に自分の携帯に送り付けられてきたとしたらどうでしょう。その動画が撮影されたのが、自分の見慣れた場所だったとしたら。あるいは精神を病んでしまうかもしれません。
②アイスバケツチャレンジ(水垢離)をすると犬神のターゲットから外れる?
生駒会長は、基本的には「犬神」の存在を信じてしまっています。それは、校則に憑き物関係の記載があり、ご丁寧に水垢離が効果的だと対処法まで書いてあったからです。「犬神」っぽい被害(水地さんのしわざ)が実際に出ているので、それから生徒を守るためにとにかく何とかしようという意識があって、そもそもの前提となる「犬神」の存在については、あまり深く疑うことなく信じてしまったのでしょうか。合理的っぽい性格の生駒会長ですが、ちょっと独特なところもあるので、実際の被害者を目にしてしまったがために、「犬神」については案外信じてしまったのかもしれません。
なので、アイスバケツチャレンジをしたところで、「犬神」(水地さん)のターゲットから外れるということはないはずです。ただ、生駒会長がおかしなイベントをやり始めたということについては、水地さんも理解しているので、今までのようにうかつに「犬神」を使って(実際には「犬神」なんていないので自分で)、他の生徒に危害を加えるようなことは自重すると思います。そういう意味では、効果があったのかもしれません。
③きれいな花の写真が逆さまになるギミックとは?
生駒会長が指定したお花の写真を特設ページにアップロードするという企画ですが、犬神に狙われている人が写真をアップロードした場合は、写真の向きが逆さまになる、という気持ち悪いギミックがありました。
これは、生駒会長が仕組んでいます。生駒会長は「犬神」の存在を信じてしまっており、水垢離が効果的だとも信じています。なので、「犬神」のターゲットになり得る生徒のうち、できるだけ多くの人にアイスバケツチャレンジをさせたいと思っています。
つまり、"Stage③でアイスバケツチャレンジをした生徒"を除き、"「犬神」のターゲットになり得る3年生の中から選んだ特定の"アカウントに対して、初回のアップロード時は画像が逆さまになるという仕掛けを入れています。
生駒会長はこれまでの調査で、なんとなく次の被害にあいそうな人が絞れています。犯人が狙うのはいずれも3年生で、病院送りにされた5人や、これまで「犬神」被害に会った生徒と繋がりがありそうな人が、次のターゲットになりそうな人です。
お昼の放送では曽我部さんと結託して、気味の悪い演出をしています。イベントに参加しようと思っている生徒は、基本的には生駒さんの言うことを信じるので、不安を煽って、アイスバケツチャレンジをやらせようとしているということです。
生駒会長は、曽我部さんにはある程度の事情を話して、色々と協力するようにお願いしていると思います。曽我部さんは、基本的には生駒会長に心酔しているので、だいたいの言うことは聞きます。生駒会長はお昼の大本営発表を最大限に活用しようとしているのです。
④星野さん(ぺんちゃん)だけがなぜずっとお花の画像が逆さまになるのか?
主人公の星野さんだけは、アイスバケツチャレンジをしてもお花は逆さまのままです。これはなぜでしょうか?これは作者の都合です。ただし、無理やりこじつけるとすれば、星野さんは自ら逆さまにしてしまっている(もしくは、2回目以降は正しくアップロードできているにもかかわらず、逆さまになったという認知になってしまっている)のだと思います。
星野さんだけは、一連の事件の犯人は水地さんだと最初から知っています。水地さんが5人に水をぶっかけられた現場を見ており、水地さんの激しい性格を熟知しているので、絶対に自分で徹底的にやり返すだろうなという確信があるからです。そして、自分が水地さんから強い嫉妬の感情を向けられていることも知っています。
意識的か無意識的かはわからないですが、星野さんは次に狙われるのは自分だと思っているわけです。それが"自分だけお花が逆さま"という認知になったということです。
⑤成川さん(るうちゃん)の不思議さ
成川さんは特異な不思議系のキャラです。コンちゃんという狐がついていると言う。これは自分でも言っていますがイマジナリーフレンドだと思います。それかブラフです。普段から何もわかっていないふりをしたり(渡辺の好意に気づいていないふり)、とぼけたり(金髪が地毛だと言う。アゲ~はギャルではなくお揚げの意味だと言う。)、自分の本心を決して人には見せないタイプの人なので、どちらかというとブラフの可能性が高いと思います。
非常に頭がよいという設定なので、色々考えた結果、水地さんの「犬神」に対抗するために、狐の「コンちゃん」という同じレベルの力を持つ存在が、自分達を守っているという共通認識を仲間内に持たせようとしているのだと思います。成川さんはおそらく「犬神」のことを信じていないです。「コンちゃん」が存在しないことを自分は知っているので。
自分の本心を決して人には見せないというところは、生駒会長と似ています。似ているからこそ、生駒会長に惹かれているのかもしれません。
⑥生駒会長とはなんなのか
ルックスから何から、全てにおいて、完璧で究極な聖人。生徒を「犬神」から守ろうと一人で頑張っています。そもそも「犬神」なんて存在しないかもしれないのに。
浮世離れしていて、独善的で合理的。他人に本心を見せない。何か決まっちゃってる人だと思います。私が薄いのですよね。無私というか。イメージはキリストと真空ジェシカの川北さんです。「私ははっきりいっておくー」とか言っていました。これはキリスト成分の描写です。逆に振れると完全に危険人物だと思います。
決まっちゃってる人なので、精神力が図抜けています。なので、生駒会長には「犬神」は効きません。一切揺さぶられない。こういうキャラなので、水地さんを殴って精神的に圧倒して黙らせるという強行策が成立します。感情があるのかないのかわからない、無私なところが怖い人。
ただ、星野さんと喋る時だけは、人間っぽいところを見せます。ぺんちゃんはかっこいいからな。
もとい、星野さんは誰に対しても分け隔てることなく接する人だからです。水地さんであろうが、生駒会長であろうが関係なく、一人の対等な人間として扱う。星野さんは、卓球での挫折を切っ掛けに人間的に成長した結果、強メンタル(主人公力と言ってもいいかもしれません)を手に入れ、人間としての器がでかくなったのだと思います。
生駒会長は、実は他人から対等な人間として接してもらえることが少ない(アイドル扱いや変人扱いされる)から、普通に接してくれる星野さんにだけは心を許すのかもしれません。
こんな感じで、オカルト要素が"勘違い"だと、ギリギリ無理やり説明できる範囲には収まっているかなと自分では思っています。破綻しているところも多々ありますが。
「学校」というものは、実に狭くて特異な空間です。あの頃は、"本当の事実"よりも「みんながどう認識しているか」ということの方が、より「事実っぽ」かったと記憶しています。
あいつが言ってるからたぶん正しいとか、全然違うのに何となくあんな噂を信じてしまってたとかね。「学校」ならではだと思います。精神的に未熟な思春期の人達が無理やり狭い教室に閉じ込められるとそうなるのですかね。改めて青春ってミステリーだと思いました。