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そういえば「キンゴジ」全然触れてなかった!

 いつもお読み頂き誠にありがとうございます。

 白黒映画、しかもモンタージュ効果も無かった異世界の映画を70mm6チャンネルステレオにまで超進化させたリック君の物語も、とうとう映画斜陽の入り口、テレビの時代に差し掛かってまいりました。

 そもそも現実世界でもテレビ業界は早くから映画業界にとって脅威で、アメリカやイギリスが3台映写方式のシネラマやテクノラマ、トッドA-Oなんて大画面立体音響の開発に必死になっていたのも、テレビへの対抗策でした。

 邦画の最高峰は11億人を記録した昭和33年ころ、特撮で言えば「明治天皇と日露大戦争」が史上空前の大記録を放った翌年ですか。

 真面目に日本特撮史を描くなら絶対に無視できない本作ですが、日露戦争もGHQによる占領もないこの世界では描きようがなかったので、色々まとめて「キリエリア沖海戦」という架空の映画にブチ込んでしまいました。渡辺邦男ファン、鈴木静一ファンの皆様すみません、リアルに会った事無いけど。
 まさかあの無茶苦茶景気のいいタイトルテーマが「日本海軍」のカラオケになるとは思っても見なかった<どこ観てる?

 一方東宝創立30周年記念作品「キングコング対ゴジラ」。
 こちらも日本特撮映画史を語ると…大好きな方々が多い作品ですし、何より昭和ゴジラシリーズ最大の動員数を誇る大成功作品なのですが、どうしても円谷英二目線だと「日本ヒコーキ野郎」「かぐや姫」と言う、円谷英二の悲願だった作品を跳ね除けてしまった作品、という負の側面が目立ってしまいます。

 この辺本作ではリック君には「異世界の特撮の記憶」なので、「日本ヒコーキ野郎」や「かぐや姫」の企画に対しては理解はあるけど「自分で作ろう」とはなり得なかった、そのため端折りました。
 いっそマギカ・テラに伝わる伝説の映画化が押し流された、という話にしようかなとも思いましたが、「日本誕生」あたりでムリしすぎたので断念しました。

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 しかし、「日本人の10人に1人は見た」という封切り動員数890万人、二番館も含めれば一千万人を動員したであろう、ゴジラとキングコングというビックネームの競演。
 結果的に見ればどうしても田中友幸に軍配が上がります。

 現場は色々な思いがあり、当初案ではゴジラとコングがリングアウトした後、後日に話が飛んでパシフィック製薬が再現番組を特撮で撮っていてゴジラとコングの中からヌイグルミ俳優が出て来て多湖部長が「これで視聴率爆増間違いなしだ」と喜んでオワリ、などという特撮の迫力ブチ壊しな案まであったとか。
 いまそれを書いた資料が見つからず、不正確な記憶かもしれませんが。

 しかし製作方針が決まってからは真剣に取り組み、本多監督は「視聴率に振り回されて自分の仕事の本質を見失う危険さ」を本編に織り込んだそうです。
 今テレビ参入編のリック社長が陥っているのも、なんとなく「キンゴジ」を、そしてオックスベリー騒動に腐心している円谷英二を反映しています。

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 さて、そんな超大作ながら再上映、二度にわたる短縮版再上映を経て、何とオリジナルネガをチョン切ってしまって、「全長版が無い!」という「なんじゃそりゃ?」という事態に陥った事がありました。

 それを1981年の、特撮マニア初の大イベント「ウル祭」以降ガンバった特撮サークルが復元への熱意を見せた功もあって段々と形になり、更に切断されたはずのネガ、更に4チャンネル音源シネテープも発見されて、今では4Kで見られる様になりました。

 復元に尽力された方々の熱意は大変なものがありまして、
「自分の印象ではもっと青かった」
「いや赤かった」
「輸送準備完了のカットはブチっとアングルが変わるのが自然だ」
とか脇で聞いていて頭が下がるばかりでした。

「モスラ」DVDで4チャンネルリマスター化の際、緒方燐作さんの台詞ズレを直すため本多監督のご遺族の許可を取りに行ったとか、聞いていて本当に頭が下がります。

 でもこんな歴史に残る大作…
 本作では割とアッサリ消化してしまった。
 ファンの皆様は読んでないと思いますが、もし読んでしまったらスミマセン。

 ちなみにこんな特撮映画としては超大作の部類の「キンゴジ」、3.5億円。
 この年の邦画興行成績は先に書いた通りです。黒澤、裕次郎、強い。

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