毎度お読み頂き、有難う御座います。
ものすごく日が空いてしまいましたが、異世界の「諸国展示会」、レイソン未来館で上映された鏡像を使い、その真ん中を動く歩道で観客が移動する映像体験施設は、1970年の大阪万国博覧会、三菱未来館で出展された体験型映像システムと言いますか、ホリミラースクリーンで上映された「日本の自然と日本人の夢」が元ネタです。
特撮ファンでこの作品を知らない人はいないと思いますが、特撮ファンじゃない人でこんなの知ってる人は当時万博行って長時間の行列に耐えて感激した人ではないでしょうか?
「怪獣総進撃」の解説でも言いましたが、邦画斜陽の真っただ中、東宝のプロデューサー田中友幸氏は博覧会映像や企業タイアップ映画に活路を見出そうとしました。
後者は創価学会系のシナノ企画とのタイアップ(「人間革命」や「八甲田山」等の大作を送り出しています)、前者がこの万博用映像。
全編特撮と言う訳ではなく、「火山」では実写の火山を海外で撮影しています。「決戦!南海の大怪獣」のラストや84ゴジラのタイトルで流用されてます。
「嵐」は円谷英二が鳴門にロケに行って体調を崩し、そのまま他界したのですが、特撮も交えた映像となり、「人間革命」のタイトルバックやテレビ版「日本沈没」の最終回にもちょっと使われてます。
かつては幻の映像だったのですが、円谷監督降板後中野昭慶監督が引き継いだ海底油田や台風爆破の映像とともに「ハワイ・マレー沖海戦」に収録されて以来普通に見られるようになりました。
またその音楽は伊福部昭作曲で、「嵐」の曲が「ゴジラ対ヘドラ」予告に、そして「地球攻撃命令ゴジラ対ガイガン」のタイトル、決闘曲に使われました。
「火山」の曲は後者のゴジラタワー爆破シーンに使われています。
これは製作協力(プロデューサー補?)の所健二氏の推薦で、当初「宇宙大戦争」のタイトル曲M2を使う予定だったのを、福田監督の「聞き馴染みのある曲だから他の曲に」との意見を元に推したそうです。
「宇宙大戦争」タイトルは過去何度も予告編で使われてますのでいい判断ではなかったかと思います。
なおこの三菱未来館の運用設計に「ゴジラ対ヘドラ」の坂野義光監督が深く関係し、予想される長蛇の列に対して動線誘導や日陰の提供等まで気を配ったそうです。
向うを張った、というにはイマイチだったらしい三井のパビリオンがあって(三井グループ館でしょうか?)、そちらはその様な運用設計が出来ていない上に「口を出すと碌な事がない偉い人」のせいで相当失敗したそうです。
まだお元気な頃の坂野監督からお聞きしました。
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高度成長時代、日本最後の輝きであった大阪万博。
しかしその後も博覧会用の特撮は続き、中野監督、川北監督へとバトンが渡されました。
先日の大阪万博ではCGになってしまいましたが、展博で活躍した特撮映像もいずれ体系化され紹介する資料が現れる事を願います。
あ、今見られる展博用特撮と言えば、神戸にある「阪神・淡路大震災記念 人と防災未来センター」の川北紘一監督による「5:46の衝撃」でしょうか。
未来の夢を描く映像と正反対の作品ですが、悲惨な現実を特撮で再現しようとしたミニチュア特撮最高峰の気迫が感じられる作品でした。