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「緯度0大作戦」

 毎度お読み頂き、有難う御座います。

 かなり日が経った後でのお話しですが、円谷特撮?最後の日米合作?、「緯度0大作戦」について解説します。

 まず日米合作は日米合作なのですが、アメリカ側のドン・シャーププロは俳優のジョセフ・コットン(第三の男で有名)、その妻パトリシア・メディナ、シーザー・ロメロ(TVシリーズバットマンのジョーカーで有名)、リンダ・ヘインズの俳優を、ベラボーに高額なギャラを東宝に押し付ける形で送り出しただけで、製作費折半の約束も反故にして倒産しました。

 その結果、製作費の大半がジョセフらのギャラに持っていかれた上、様々な権利が不明のまま長い間ビデオ、LD化もされなかったという泣きっ面に蜂みたいな映画でした。

 現場では相変わらず外人組が日本スタッフとコミュニケーションを取ろうとせず、色々不安だったリンダをリチャード・ジェッケル氏が取り成して随分安心したとか。
 この話を知って自分の中でアメリカンノリスケさんの株が爆上がりしました。

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 大本は、この企画の発起人、テッド・シャーマン(放射能Xとか、日本では20世紀にはほぼ存在しなかった特攻隊の映像を再現した稀有の作品「全艦突撃せよ!」の脚本)による戦前のラジオ番組「緯度0」が原作で、これを映画化したいと熱望した彼をプロデューサーのドン・シャープが東宝に持ち掛けたはいいものの、合作が決まってすぐ彼のプロダクションは破産。結局先述の通り一切の金を出さずに全部東宝が抱える事になったのです。

 さらに、当初は大人向けのSF作品として志されたものの、途中で子供向けセールスに転向し、同時上映も「巨人の星」になって色々な意味で残念な作品になってしまいました。

 また、内容も戦前の冒険活劇を下敷きにしており、それもそれで日本風とは違う活劇になっているのですが、リンダ・ヘインズ嬢曰く「アメリカに帰って劇場に行けば子供達が陳腐さにゲラゲラ笑っていた」とお嘆きの模様。
 それでもリンダ嬢はこの作品を懐かしく、良い思い出として大事にして頂いている様子です。

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 何より、中野昭慶助監督による緯度0の潜水艦アルファ号と敵の黒鮫号の重厚感と知恵比べ的な戦い、最後のアっと驚く脱出劇(敢えて言わない)の、カッチョよさ!
 アルファ号は特美チーフの井上泰幸さん、黒鮫号は助手でムーンライトSY3号をデザインした豊島睦さん、師弟でデザインラインが異なるスーパーメカが戦うカッコよさ、最大6mのミニチュアを駆使したスケール感などは特撮マニア、メカマニア必見の出来です。

 なお、お元気だったころの昭慶さん曰く
「オヤジ一度も現場に来なくてさ!」
だそうです。
 しかし6mのアルファ号のミニチュアとか、円谷監督でもないと考えつかないでしょう。
特撮のプランは立てて後は現場に任せて自分は「日本海大海戦」か三菱未来館に没頭していたのでしょうか?

 定番の伊福部サウンドもタイトルから一風変わった感じのエキゾチックさとバロック音楽っぽさが混ざった不思議なものでした。タイトル曲は「奇巌城の冒険」あたりが一番雰囲気が近いのかもしれません。
 アルファ号のプレートの「1805年進水」に驚愕する場面ではヘンデルのサラバント(1733出版)を使い、海底都市緯度0の描写ではチェンバロを使い、前近代の雰囲気を表していました。

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 公開に当たって、当初「大人向け冒険活劇」として公開する予定でしたが、結局子供向け枠に変更し、アニメ「巨人の星」を併映する事になり、色々不遇な作品でしたが超満員の池袋文芸地下で見た時私(当時中学生?)は、その不思議で神秘的な世界に、そしてアルファ号と黒鮫号の戦いに心奪われました。

「海底軍艦」以来久々のSF映画とその挫折。夢とは挫折したその向こう側にあるものであれば、それは何と儚く魅力的なものなのでしょうか。
 しかしそこには確かに魅力的な夢の一部が光り輝いていた、私にはそう見えたものです。

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