この物語は、
「誰かを育てることで、自分が救われるのか」という問いから始まりました。
主人公は弱く、臆病で、過去から逃げ続けている人間です。
彼は誰かを愛する準備も、向き合う覚悟もないまま、
“守る役割”だけを与えられた。
少女は、名前も過去も持たない「空白」として現れます。
だからこそ彼は、
彼女を通してしか、自分の感情に触れられなかった。
本編では、
「それでも人は変わってしまう」という余白を残しました。
実験記録では、
それをすべて“意味のないデータ”として切り捨てています。
どれが正しい、という答えは用意していません。
ただ一つ確かなのは、
誰かの人生に触れるという行為は、
触れた側も、触れられた側も、
同じ形では戻れないということです。
救いがあったのか。
幸福は存在したのか。
それを決めるのは、物語の中の誰でもなく、
これを読んだあなた自身です。
この話を読み終えたあと、
胸の奥に残る違和感や痛みがあるなら、
それこそが、この物語が存在した証だと思っています。
最後まで読んでくださり、ありがとうございました。